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近くて遠い?変化する「建築」と「土木」の関係を確認しておきましょう

近くて遠い?変化する「建築」と「土木」の関係を確認しておきましょう
ここがポイント!

以前、「建設系CADオペレーター」という場合の「建設」には、一般に「建築(いろんな建物)」と「土木(道路や橋など)」が含まれる、というお話をしました。ですが、最近、「建築と土木」の解釈は、すこし曖昧になってきています。そこで現在の教育や行政の情報を中心に整理して紹介します。

教育、行政でも「土木」という表現が減っています

まず、教育現場の実情をみていましょう。

たとえば東京大学では建築・土木関連の学科は工学部にあって「1:社会基盤学科」「2:建築学科」「3:都市工学科」に分かれています。ここに「土木」の文字はありません。1と3が土木関連だと思われますが、イメージしづらいですよね。

また、早稲田大学には工学部はなく「創造理工学部」に建築学科はありますが土木系学科はありません。「社会環境工学科」に、いわゆる土木も含まれています。このように大きな括りでトータルに都市・建築を考えるという傾向があります。

少し前まで、理系の大学の工学部・建設系学科の多くは「建築学科」と「土木工学科」に分類されていました。でも最近は土木という言葉は減り、建築・土木を含めた「環境」や「都市」とといった表現を使った学科が増加中。こうした総合的なカリキュラムでも製図の授業でCADソフトを使うという点では今も同じです。

つぎに、行政について調べてみました。

東京都の場合は「建設局」はありますが、ここでも「土木」の文字は出てきません。ちなみに「東京都建設局」のキャッチコピーは「未来をつくろう…~みち・水・緑」。このコピーがそのまま「土木」を意味するようにも感じます。土木という文言を入れた方が分かりやすい気もするのですが…。

そして東京都に限れば、住宅や建築基準法などの建築系は「都市整備局」の管轄で、なぜか「建築」の文字がありません。これでは、建築、建設と「都市整備」の違いが分かりにくいですね。もちろん建築基準法の「確認申請」の提出図面は名目上は手描きでもかまいませんが、実際はCAD図面がほとんどです。

このように、今では、国語辞典的に「建設に建築・土木が含まれる」とは一概にはいえないようです。学問の世界、そして行政でも「建築・土木・建設」などは、かなり混ざり合っている印象。これは、それぞれの専門領域がボーダーレス化しているともいえるでしょう。

スカイツリーは建築?土木?それとも…

たとえば、2012年にオープンして東京の新しい観光スポットになった「東京スカイツリー」は、高さが634メートルもあります。こうした、ハイテクノロジーな建造物には、CADによる解析をはじめとした最先端のコンピューターテクノロジーが使われています。

東京スカイツリー

東京スカイツリー

展望台から東京全体が見渡せて大人気のスカイツリーですが、日本―高い「建築物」は現時点では、大阪にある高さ300メートルの「あべのハルカス」です。スカイツリーの半分以下ですね。じつは、スカイツリーは法的には「電波塔」という「工作物」で、厳密にいうと「建築」ではないのです。

あべのハルカス

あべのハルカス

スカイツリーが世界第2位の高さの建築といわれることもありますがホントは微妙……。、スカイツリーの「展望台」は人が利用する場所なので、法律上は「建築物」。とても、ややこしいですね! こうした複雑な建造物の設計ではCADに代表されるコンピューティンングシステムが分野を超えて大活躍しています。

でも、複合的な建設物が増えてきたことで、職業の分類・専門化などが難しくなってきていることは逆に興味深いこと。こうした状況を考えるとCADを勉強中の人は「家もダムも橋も、ぜんぶ『建設』と呼べばいいのに!」と思うのでは?

ですから、求人で見かける「建設系CADオペレーター募集」という表現は、あらゆる物事の境界線がなくなってきた「今」を反映しているともいえます。そしてCADスキルは応用範囲が広い、オールマイティな技能だといえるでしょう。

最後に

ここまで見てきたように、今では「建築」+「土木」≒『建設』、という図式は成立しにくくなっています。実際に「建築学」「土木学」という学問があって、それぞれに学会もあるのに、教育や実務の現場レベルでは混在しているのです。

しかし、混乱した状況だからこそ、両者を繋ぐ汎用性の高いCADオペレーション技術が重要な時代になってくるでしょう。

建築も土木も「ものづくり」や「まちづくり」という意味ではとても近い関係。これからの時代は分野を超えた環境でコンピューター支援による、さまざまな「コラボ」が増えてきそうです。

ジャンル分けが難しい混沌とした時代だからこそ、CADに代表されるコンピューター技術は必要不可欠なものです。そこから、どんな「新しい表現」が生まれてくるのか? 想像するだけでワクワクしてきますね。

この記事を書いた人
CADカフェ編集部

きゃどかふぇへんしゅうぶ

CADカフェ編集部

CADを使ってお仕事をされている皆さんへ、お役立ち情報をお届けしています。株式会社アペックスが運営。

(文:喜入時生 イラスト:織田博子)

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