INTERVIEW

図面はラブレターだと思って描くようにと
かつて上司に教えられました。
うまく描けた図面は自分で見ても気持ちがいい。

岩田恭子さん岩田恭子さん
1986年生:27歳
女子美術大学芸術学部デザイン学科環境デザイン専攻卒業
1年後渡英、語学学校で英語を学びその後
The Arts University College at Bournemouth FdA Textile(英国:短期コース)修了
帰国後、窪田建築都市研究所有限会社にインテリアデザイナーとして入社、主に店舗の内装設計を担当。
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何でもやりたがりで、気になるとつっ走るタイプ。

Q.学生時代はどんな勉強をされましたか?

子供の頃からデザインが好きで、高校は美大の付属高校に入りました。そして大学に上がるときに選んだのは「デザイン学科」です。”アーティスト”として自分の絵を描きたいのか、それとも”デザイナー”として商業デザインをしたいのかで大きく異なるのですが、私は商業デザインのほうを選びました。内面を突き詰めるよりも、周辺との関係性をもって自分を表現していく方が得意だったし、仕事になると思ったので。デザイン学科の中でも、建物が好きということもあり「環境デザイン」を専攻しました。環境というととても意味が広くって、大きすぎる括りですけど・・・ランドスケープ、インテリアデザイン、美術館、商店、ディスプレイ、集合住宅、個別住宅・・・いろんな課題がでて設計しました。集合住宅の設計とか、美術館などの課題は面白かったです。大きいほうがやっぱり楽しいし、その建物に人がいっぱい関わっているのを想像するのが好きです。

Q.卒業後に選んだ道は?

大学の勉強もやりきった感がなかったので、英国に留学しました。最初は語学学校でしばらく英語の勉強をして、その後は大学で、布という素材を使った表現を勉強していました。建築だけの勉強ではなくて、いろんな素材を使った表現を勉強したくて。英語が完璧ではなかったので、とにかく自分のやりたいことを語学に頼らずにどうやって伝えようかという勉強にはなりましたね。いろんな写真や絵を使って「こんなのを作りたいんです!」とめっちゃ情熱的にハングリーに伝えていったらかわいがってもらえました。アーティストさんのところにポートフォリオを送って、インターンで働かせてもらったり。古い建物が大好きなので、留学先を選ぶときもアメリカではなく絶対ヨーロッパがよかった。留学中にいろんな建築物を見て周りました。英国の居心地はすごくよかったのですが、日本で震災などもあったことと、勉強したことをそろそろ仕事にしていきたいという気持ちがあり帰国しました。

Q.いろいろなことをされていますね。

気が多いのかな?何でもやりたがりで、気になるとつっ走ってしまうタイプです。仕事じゃなくても、アートも、写真も、旅行も、食べるのも、飲むのも何でも好きです。

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スタッフの方とも、お客さんとも店舗を通してつながっている感覚。

Q.帰国後のお仕事を教えてください。

窪田建築都市研究所という意匠設計の会社で、インテリアデザインの仕事をしています。雑貨屋さんの店舗を主に担当しているのですが、営業から施工の監理まですべて自分でやらなければなりません。

Q.図面はどのように描きますか?

テナントの躯体(くたい)図面は支給していただく場合が多いので、まずCADを開くと、躯体からテナント意匠用の壁をふかすなど下準備をします。そして、駅の方向や人のながれを考慮して、お客様がどこから入ってどこでレジ会計をするのがスムーズなのか。スタッフの方はどこにストックがあるとスマートなのか、何パターンも描いて導線のシミュレーションをします。大体の配置が決まったら、次はどの商品を前面に見せたいか。それによっていくら収益が動くのかなどブランドの担当者さん達の話を横で聞きながら、ひたすら什器のレイアウトです。デザインといっても、ちゃんと根拠のある議論に基づいているので迷走しないし楽しいです。あとは、レイアウトの柔軟性をどこまで持たせるかとか、ブランドサインをどのように見せるかとか・・・。図面ができたら工事も見に行ってチェックして引き渡し後、最後ライティングもチェックして店舗のオープンです。一つの案件に3ヶ月から1年半ぐらいかかります。

Q.お仕事に一番大事なことはなんですか?

この仕事に一番大事なことはブランドを理解することだと思っています。ブランドを築き上げてきたブランド担当者・スタッフの方々のお話を聞いて、どんな商品を扱っていて、それらがどんな想いで開発されて、どんなお客様が買いに来て・・・ということを想像します。ブランドをちゃんと理解して図面に落とすことで、自分もスタッフの方やお客様と店舗を通してつながっている感覚があります。

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自分の中の、引き出しをどんどん増やしていきたい

Q.CADを使ったお仕事は好きですか?

CADを使うのは楽しいのでたぶん好きだと思います。CGとかも自分で作るのですが、これも大好きです。
元上司から、「図面は施工してくれる業者さんや大工さんに渡すラブレターだと思って、心を込めて描きなさい」と言われたことがあります。よく描けている図面は、自分でも、何度見ても「いいなぁ」と思います。

Q.将来の夢を教えてください。

建築だけの知識じゃなくて、デザインのアイディアが豊富なデザイナーになりたいです。自分の中の引き出しをどんどん増やしていきたい。

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お仕事で使われているCADは?

学生の頃からずっとですが、今も、ベクターワークスを使っています。

趣味は何ですか?

小説を読むのが好きで、通勤時間やランチタイム、就寝前の時間に読んでいます。

最後にひとこと

内装業は女性がもっと活躍できる業界だと思うのですが、(世の中のお店は女性向けのものが多いですし、細かな気遣いも要求されるので)まだまだ現場は男性の方が圧倒的に多いのが現状です。この機会に少しでも店舗内装に興味を持ってもらえるならいいなと思っています。

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INTERVIEWER'S_EYES

 

「気が多い」とご自身もおっしゃるように、いろいろなことに興味を持って関わっていく岩田さん。勢いがあって、それでいて地に足がついていて・・・自分がクライアントでも「彼女になら任せられる」と言うと思います。貴重なお時間を割いてお話を聞かせていただきありがとうございました。

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